ブルドッグ種の皮膚病

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フレンチ・ブルドッグの治療例1

1年以上前から、指間、足裏、顔の皺、口唇、耳の痒みで他院にて治療していたが、改善なく当院を受診されました。足裏からは大量のマラセチアが検出されるなど、フレンチ・ブルドッグの典型的な皮膚炎といえます。投薬は2週間のみ、週1回のスキンケア治療でほぼ痒みは消失しました。食事療法を継続することで現在ではほとんど再発は認められていません。

一般的にフレンチ・ブルドッグは痒みを伴う皮膚疾患が多く、特徴的な発症部位と若齢からの発症があるため「アレルギー体質」と評されることがあります。確かに、フレンチ・ブルドッグには食物アレルギーが多く、関連した皮膚疾患があると言われています。

個人的な見解ですが、実際の診療では犬アトピー性皮膚炎に合致した臨床症状を示すフレンチ・ブルドッグが多いことからアトピー体質を疑うことも多いのですが、特異的IgE検査で典型的な異常を示す症例は柴犬より少なく、アレルギーという言葉だけで説明できるフレンチ・ブルドッグはごく限られているのではないかと考えています。これはフレンチ・ブルドッグにアレルギー検査は必要ないという意味ではなく、むしろ食物アレルギー単独による皮膚疾患であれば劇的な治療成績の向上が期待できることでもあり、犬アトピー性皮膚炎であれば新たな治療方針の提示の根拠にもなるため、客観的な評価ができる血液検査は非常に有効だと思います。

  • 甲状腺機能低下症により再発を繰り返した膿皮症の症例1
  • 甲状腺機能低下症により再発を繰り返した膿皮症の症例2
  • 甲状腺機能低下症により再発を繰り返した膿皮症の症例3
  • 甲状腺機能低下症により再発を繰り返した膿皮症の症例4
  • 甲状腺機能低下症により再発を繰り返した膿皮症の症例5
  • 甲状腺機能低下症により再発を繰り返した膿皮症の症例6

フレンチ・ブルドッグの皮膚病

フレンチ・ブルドッグの皮膚病

フレンチ・ブルドッグはその独特の遺伝的素因から脊椎疾患・短頭種症候群・整形外科疾患などさまざまな疾患にかかり易い傾向にあります。その中でも臨床上最も多くトラブルとして認識され易いのが、痒みを伴う皮膚疾患です。特にこの10年、国内でも飼育頭数が増え、動物病院に来院するフレンチ・ブルドッグを診察する機会が多くなっていますが、やはりその中でも皮膚病が多い傾向にあります。特別な皮膚疾患が認められるわけではないのですが、フレンチ・ブルドッグやボストン・テリア・ブルドッグなどは皮膚疾患のコントロールが難しい傾向にあり、その短頭種独特の体質が難治性の原因になっていると思われます。
東海(愛知・岐阜・三重)より遠方の方で通院が困難なフレンチブルドッグの皮膚病治療には、ホームケアでできるシャンプー療法とスキンケア、そしてサプリメントを推奨しています。

年齢

比較的若齢の生後半年~3歳までには明確な痒みが認められていることが多い傾向にあります。高齢のフレンチ・ブルドッグがまだ少ないため、高齢期の皮膚症例が多くありませんが、他犬種同様に中~高齢期から発症する内分泌ホルモン疾患もあると思われます。

症状

明らかな痒みとして認められます。犬種としての性格からも「掻く」「舐める」といった仕草が強くでるため、傷になってしまう場合もあります。

季節性

アトピー性皮膚炎によるものであれば、多くは春~秋の季節性の悪化が認められます。食物アレルギーの場合は通年性ですが、感染症が関与する場合が多いためやはり梅雨~夏にかけて悪化しいやすい傾向があります。

病変部

特に顔の皺、肢端(指間、足裏)が最も多く見られます。湿疹は腹部~内股・ワキ・背中に多く、全身性の皮膚疾患では前腕、肘、頚部、口唇も好発部位となっています。

典型的な皮膚病変

顔・口唇・頚部

  • 顔・口唇・頚部1
  • 顔・口唇・頚部2
  • 顔・口唇・頚部3
  • 顔・口唇・頚部4
  • 顔・口唇・頚部5
  • 顔・口唇・頚部6

前肢・肢端

  • 前肢・肢端1
  • 前肢・肢端2
  • 前肢・肢端3
  • 前肢・肢端4
  • 前肢・肢端5
  • 前肢・肢端6

胸~腹部・内股

  • 胸~腹部・内股1
  • 胸~腹部・内股2
  • 胸~腹部・内股3
  • 胸~腹部・内股4

フレンチ・ブルドッグの皮膚病における一般皮膚検査

フレンチ・ブルドッグの皮膚病で最も多いのは皮膚感染症、特に細菌性膿皮症です。他にニキビダニなど寄生虫疾患などの一般皮膚検査を行います。また、多くの場合抗生物質に対する薬剤耐性菌による細菌性膿皮症を伴っているため、細菌培養と薬剤感受性試験を行います。

一般皮膚検査

  • 顕微鏡検査:細菌性、マラセチア性、寄生虫性
  • 培養検査:糸状菌性、細菌感受性検査
  • 細菌性膿皮症

    細菌性膿皮症

  • 顕微鏡所見:細菌及び好中球

    顕微鏡所見:細菌及び好中球

フレンチ・ブルドッグの皮膚病における内分泌(ホルモン)疾患検査

皮膚・被毛の状態を正常に保つために、生体内ではさまざまなホルモンが作用しています。基礎疾患にこの内分泌ホルモン疾患がある場合、脱毛・皮膚感染症・脂漏・フケ・色素沈着などの症状が認められます。過去に皮膚病歴がなく中高齢期からの発症で診断に至る症例もあれば、若齢からの膿皮症やアトピー性皮膚炎などに引き続き併発することで治療成績が悪化しはじめた症例もあります。治療成績に大きく影響するため、血液検査と画像診断で内分泌疾患を調べます。フレンチ・ブルドッグはまだまだ若い症例が多いため、他犬種ほど内分泌疾患を診ることは多くありませんが、甲状腺機能低下症が最も重要になると考えています。

甲状腺機能低下症により再発を繰り返した膿皮症の症例

表面上はフレンチ・ブルドッグによく認められる細菌性膿皮症です。当院受診までに長期間抗生物質の投与歴があったため、多剤薬剤耐性が認められました。細菌培養&感受性試験を行い、感受性(細菌に対する効果)のある抗生物質により寛解(湿疹の消失)したものの、短期間で再発が認められました。短期間の再発にはアトピー体質・食物アレルギー・寄生虫性疾患などさまざまな原因がありますが、血液検査から甲状腺機能低下症と診断し、甲状腺ホルモン剤の投与により再発が著しく減少しました。一般的に甲状腺機能低下症は中~高齢期の疾患と考えられていますが、今回のフレンチ・ブルドッグは3歳時の確定診断であり、症状の経過を考えると2歳ごろには発症していたと推測されます。甲状腺機能低下症による皮膚疾患の悪化は、他の治療ではほとんど改善がないため、確実に診断することが大切になります。甲状腺の検査は、細菌性膿皮症を含め、再発する感染性皮膚疾患には必須と考えています。

フレンチ・ブルドッグの皮膚病におけるアレルギー検査

アレルギー検査

  • アレルゲン特異的IgE検査:
    環境アレルゲン(ハウスダスト、花粉、カビetc)
    食物アレルゲン(18項目)
  • リンパ球反応検査:食物アレルゲン(18項目)

フレンチ・ブルドッグの皮膚病治療の実際

犬の難治性皮膚疾患の代表例に「柴犬の犬アトピー性皮膚炎」、「シーズーの脂漏性マラセチア性皮膚炎」がありますが、フレンチ・ブルドッグに多い皮膚病を適切に表現できる言葉を探してもいい表現が見つかりません。あえて表現すると「フレンチ・ブルドッグである」ということです。遺伝的に皮膚が弱い、医学的には「皮膚バリア機能の低下」と説明するのですが、明確な疾患名ではありません。このような現状が、「アレルギー」という表現が多様されてしまう原因になっているのだと思われます。しかしフレンチ・ブルドッグの皮膚病をアレルギーという括りで説明するのは非常に難しいと考えています。

当院におけるフレンチ・ブルドッグの診察で最も多様する言葉は「感染」と「皮膚が弱い」の2つ、1つ目の「感染」とは細菌感染が多いため細菌性膿皮症を治療することが重要となります。もしこの膿皮症の原因が明確になればいいのですが、現状では適切な疾患名がなく、そこで2つめの「フレンチ・ブルドッグは皮膚が弱い(皮膚バリア機能低下)」と表現せざるを得なくなっています。以上のことからフレンチ・ブルドッグの皮膚病では、感染のコントロールのために投薬治療とともに皮膚機能を改善するスキンケア療法が重要になってきます。一般的には「頻繁にシャンプーする」「殺菌効果のある薬用シャンプーを使用する」となっていますが、ある程度効果があるもののフレンチ・ブルドッグの痒みは感染だけではないため肝心の皮膚機能が改善しません。当院ではこのフレンチ・ブルドッグの皮膚の弱さをスキンケア療法で治療することで、治療成績を格段に向上させることができました。

フレンチ・ブルドッグの治療例1

  • フレンチ・ブルドッグの治療例1_before①
  • フレンチ・ブルドッグの治療例1_after①
  • フレンチ・ブルドッグの治療例1_before➁
  • フレンチ・ブルドッグの治療例1_after➁

フレンチ・ブルドッグの治療例2

フレンチ・ブルドッグの治療例2

1年前から指間の痒みから始まり、他院にて洗浄剤・ステロイドなどで治療を行うも腕、顔の皺、頬、口唇、頚部、腕、四肢端、背中…とほぼ全身に拡大しました。療法食や完全手作り食での食事療法も併用されていましたが、改善がなく当院を受診されました。アレルギー検査から新たな療法食での食事療法を行い、週1回のスキンケアで6週間でほぼ痒みは消失し、被毛も改善しました。その後再発がないことからも、適切な食事管理が皮膚疾患の管理に重要であることがわかります。

  • フレンチ・ブルドッグの治療例2_before①
  • フレンチ・ブルドッグの治療例2_after①
  • フレンチ・ブルドッグの治療例2_before➁
  • フレンチ・ブルドッグの治療例2_after➁
  • フレンチ・ブルドッグの治療例2_before③
  • フレンチ・ブルドッグの治療例2_after③
  • フレンチ・ブルドッグの治療例2_before④
  • フレンチ・ブルドッグの治療例2_after④

ボストン・テリア&ブルドッグの皮膚病

ボストン・テリアもブルドッグもフレンチ・ブルドッグと遺伝的に近いため、皮膚疾患が多い傾向にあります。また、その皮膚病のタイプもフレンチ・ブルドッグと非常に似ていて、感染(細菌性皮膚炎)が起きやすく、皮膚の弱いことが原因と考えています。治療は感染を抑えること、皮膚バリア機能を考えたスキンケアを行うことが重症です。治療のスタンスはフレンチ・ブルドッグとほぼ同様に行うことで非常にいい治療成績がでています。

ボストン・テリアの治療例

フレンチ・ブルドッグの治療例1

1歳ごろから四肢端(甲、指間、足裏)の痒みが強く、ステロイド・抗ヒスタミン剤の投与を約1年間継続するが改善することなく当院を受診(受診時3歳半)されました。当院ではスキンケアを中止として、ステロイドは1度も服用することなく約2週間で痒みが改善し、皮膚病変も6週間ですべて改善しました。現在でも定期的なスキンケア治療を継続し、ステロイドの服用はありません。

  • 性ホルモン疾患による感染性皮膚炎_before①
  • 性ホルモン疾患による感染性皮膚炎_after①
  • 性ホルモン疾患による感染性皮膚炎_before➁
  • 性ホルモン疾患による感染性皮膚炎_after➁
  • 性ホルモン疾患による感染性皮膚炎_before③
  • 性ホルモン疾患による感染性皮膚炎_after③
  • 性ホルモン疾患による感染性皮膚炎_before④
  • 性ホルモン疾患による感染性皮膚炎_after④
  • 性ホルモン疾患による感染性皮膚炎_before⑤
  • 性ホルモン疾患による感染性皮膚炎_after⑤

フレンチブルドッグの治療実績

症例

約3年前から痒みを伴う湿疹の再発が認められ、ステロイドを服用すると一時的に痒みが抑えられるが中止するとすぐに痒みがでるという状態を繰り返し、全身の悪化が認められ当院を受診されました。
当院ではステロイドの処方はせず、投薬治療とスキンケア療法(薬浴)を中心に治療し、約6週間後には非常に綺麗に改善しました。

症例

【症例】 12歳 男の子
【症状】 痒い、湿疹
【キーワード】 脱ステロイド、耐性菌、膿皮症

症例

【症例】 5歳 女の子
【症状】 痒い、足裏を舐める、湿疹
【キーワード】 脱ステロイド、膿皮症、アレルギー

フレンチ・ブルドッグの皮膚科専門外来
ブルドッグ犬種の診極め

治らない理由 -診断編-

治らない理由 -治療編-

適切な治療には的確な診断が不可欠ですが、ブルドッグ犬種では症状が似ているにも関わらず原因が異なるため、診断そのものが難しいとされています。
特に犬アトピー性皮膚炎と心因性掻痒症は発症部位が共通しているため、心因性による痒みにも関わらず「犬アトピー性皮膚炎」と誤診されているケースが多く認められます。

また食物有害反応による皮膚病にも関わらず食物アレルギーと診断され間違った食事療法で悪化している症例も多数来院しています。
さらに痒み症状を引き起こす皮膚病の原因が複数存在することも、一つの薬で改善しない理由になっています。
適切な治療には症状・部位・体質に合わせた多角的なアプローチが同時に必要となるため、ブルドッグの遺伝的体質をどれだけ診極められるかが最も重要なポイントになります。

診断の差① アトピーとアレルギー

「アトピー」と「アレルギー」がイメージで使われるようになり、アレルギーではないにも関わらず「アレルギー」の診断名が多用される傾向が強くなっています。臨床の現場ではアレルギー性皮膚炎はあまり多くなく、過剰なアレルギー診断は存在しないアレルゲンを探す出口のないトンネルに入ることで治療迷走の原因になります。ブルドッグ種の皮膚科診療の1つ目の分岐点は「アトピーの評価」「アレルギーの評価」であり、当院ではブルドッグ種はアレルギー体質ではないと考え「アレルゲン回避」は治療方針のメインにはなりません。

診断の差② 食物アレルギー

近年では「食物アレルギーの血液検査」や「アレルゲンにならないアミノ酸療法食の開発」といったことも影響して、現在の皮膚科医療の現場では食物アレルギーが大きな注目を集めています。しかし一方で医学論文では「食物アレルギーは稀である」という調査データが揃っており、食物アレルギーではない症例に食物アレルギーの過剰診断が行われているのも今の皮膚科医療が抱えている負の問題点です。確かにアレルギー検査は従来なかった画期的な検査法ではありますが、検査結果はアレルギーの証明にはならず、検査に頼った今の医療体制では「検査が治療方針を間違わせる」ことにもなりかねません。当院では稀な食物アレルギーに過剰なアレルギー診断を行わず、症状に即した診断を行うことを徹底しています。

診断の差③ 心因性掻痒症

今の皮膚科医療の課題の一つは「検査できない病気を見過ごすこと」で、ブルドッグ犬種では「心因性の診断」が完全に抜け落ちています。これも検査に頼った現在の医療体制の負の問題点で、心因性をテーマにした議論・セミナーはほとんどなく、実際の診療では診断対象外の扱いとされています。診断されにくい理由としては、心因性の症状とアトピー・アレルギーの症状が「舐める・掻く」といった痒み症状と共通しており、発症部位も手・足・耳・内股・身体・・・とほぼ重なっているためと考えられます。多くのケースで、心因性の症状に対しても「アトピー・アレルギー」と診断され、アレルギー対応食事療法や痒み止め薬が主流になっています。  

治らない理由 -治療編-

薬の選択肢

ブルドッグ種の皮膚病が難治性である理由の一つに診断の差があることを伝えましたが、仮に診断が正しくても治療成績が向上する治療ができるとは限らないことも多々あります。それはパズルを完成させるピースのようなもので、複数の原因に対してそれぞれ治療方針を立てたとき、1つでもピースにズレや不足があると治療結果がでないことになります。例えば薬剤種類の変更、投薬量の変更、食事の変更、スキンケアの指導、季節に合わせた治療方針の変更といった要因があり、この複数の治療ピースを同時に最適化することが求められるがブルドッグの難治性皮膚病です。

治療の差① 薬の選択肢

膿皮症に関しては耐性菌を考慮して薬剤感受性試験を基に抗生物質を処方しますが、検査結果と治療結果が必ずしもリンクするとは限りません。その場合は臨床症状に合わせた薬剤変更が必要となります。また心因性では相性の悪い薬剤であれば薬剤の変更が必要になりますし、中には投薬量を増やさなければ効果がでないこともあります。また現在では抗アレルギー薬としてアポキル(オクラシチニブ)が頻繁に処方されていますが、症状によってはアポキル以上に効果を示す治療薬もあるため、体質に合わせて薬剤の選択をしなければいい治療結果はでないと考えています。

治療の差② スキンケア
スキンケア

最近の皮膚科ではスキンケアが注目されていますが、実際の診療現場で難治性・重症の皮膚病がスキンケア単独で治ることはほとんどありません。確かに当院でも開業時からスキンケアの研究を行い、治療に積極的に取り入れていますが、それは「適切なスキンケアを組み合わせなければいけない」であり、投薬治療を行わずにスキンケア単独でアプローチすることはありません。またスキンケアにも難易度の課題があり、自宅で行うシャンプーを「スキンケア療法」と呼べる水準まで引き上げるのは困難を極めます。その理由の1つはスキンケア商品の不足で、市販されているスキンケア商品では治療レベルのスキンケア療法を行うことはできません。2つめの理由は技術的なもので、皮膚コンディションに適した施術が必要なスキンケアですが、シャンプー自体の経験が少ない一般病院ではスキンケアの指導が難しいのが現状です。当院では年間1000件を超える院内薬浴の実績と、一般診療動物病院にスキンケアの指導を行う専門病院として高い評価を受けています。

治療の差③ 「舐める&掻く」は痒みとは限らない

ブルドッグ犬種は痒みがでやすい体質をもっていますが、「舐める=痒い」「掻く=痒い」とは限りません。心因性掻痒という症状があり、痒みの有無・強さに関係なく執拗に舐める動作や、突発的な掻き壊しが起こります。この心因性掻痒症は検査方法がなく診断ができないこと、治療経験がある獣医師もほとんどなく皮膚科セミナーなどで治療法が取り上げられることもないため、診療現場ではほぼ診断されていません。また心因性掻痒とアトピー性皮膚炎の症状が非常に似ているため、多くが「アトピー・アレルギー」と一括りにされて見過ごされているのが現状です。心因性というテーマがデリケートな意味合いを含んでいるのも影響が否めませんが、ここを追求せずしてブルドッグの痒み疾患を極めることはできません。当院ではアトピーと心因性を区別してアプローチすることで、従来の皮膚科とはまったく異なる高い診療レベルを提供できています。  

診断の差④ アレルギー対応療法食による悪化

病院専用療法食以外にも皮膚病対策ドッグフードが存在しますが、多くが「アレルギー対応」となっています。しかし医学データは「食物アレルギーは稀」という結論を出しており、当院でも「食物アレルギーの症例は記憶にない」と食物アレルギーの診断は原則行っていません。これは食事療法を否定するものではなく、食事から何か(アレルゲン)を抜くことは必要ないということです。過剰なアレルギー診断が「フードに何か原因食材が入っている」という誤解をつくり、フードジプシーと言われる迷走を生み出す原因になっています。むしろアレルギー対応療法食そのものが皮膚病悪化の原因になっていることも非常に多く、「アレルギー対応フードだから大丈夫」が通用しないのが現実です。当院では「改善につながる食事療法」も指導の一つに入れて取り組んでいます。

ブルドッグ犬種に対応できない3つの皮膚科の課題

『アレルギー治療の限界』

「フレンチブルドッグ=アレルギー性皮膚炎」という印象が広く浸透していますが、アレルギー性皮膚炎はほとんどないため、この先入観が治療を難しくしています。実際の診療現場でも、複数の低アレルゲン食事療法を試してまったく改善しないわんちゃんが大半を占め、アレルゲンを見つけることができていません。これは低アレルゲン食事療法で改善がないことだけでなく、アレルギー検査結果からも同じことが推測でき、「アレルギー検査でアレルゲンが見つからない」「検査で見つかったアレルゲンを回避しても改善しない」というのはよくあるケースです。特に医学論文データから稀とされる食物アレルギーを疑って低アレルゲン食事療法をすることは治療成功が低くなる原因になっています。当院では「ブルドッグ犬種は遺伝的腸管免疫異常がある」として、アレルギー治療ではない免疫学的な改善アプローチ※を中心に行い、高い治療成績を収めています。
※免疫学的アプローチ スキンケアECプラス・ヒーリングケアLFプラスによる治療

『舐める&掻くは痒みではない』

ブルドッグ犬種は痒みがでやすい体質をもっていますが、「舐める=痒い」「掻く=痒い」とは限りません。心因性掻痒という症状があり、痒みの有無・強さに関係なく執拗に舐める動作や、突発的な掻き壊しが起こります。この心因性掻痒症は検査方法がなく診断ができないこと、治療経験がある獣医師もほとんどなく皮膚科セミナーなどで治療法が取り上げられることもないため、診療現場ではほぼ診断されていません。また心因性掻痒とアトピー性皮膚炎の症状が非常に似ているため、多くが「アトピー・アレルギー」と一括りにされて見過ごされているのが現状です。心因性というテーマがデリケートな意味合いを含んでいるのも影響が否めませんが、ここを追求せずしてブルドッグの痒み疾患を極めることはできません。当院ではアトピーと心因性を区別してアプローチすることで、従来の皮膚科とはまったく異なる高い診療レベルを提供できています。

『ブルドッグ犬種の特性への理解』

ブルドッグ犬種は遺伝的に特殊であり、他の犬種とは異なる特徴をいくつももっています。一般的には「皮膚が弱い」と一言で片付けられやすいですが、治療のためには何に対して弱いのか、なぜ弱いのかを細部まで分析することが重要と考えています。当院では気温・湿度・体重・皺・毛並み・毛色・性格など、一般的な「検査」では評価できない項目も分析し、個性・遺伝・環境要因に合わせた細やかな治療方針を組み立てています。

『舐める&掻くは痒みではない』

ブルドッグ犬種は痒みがでやすい体質をもっていますが、「舐める=痒い」「掻く=痒い」とは限りません。心因性掻痒という症状があり、痒みの有無・強さに関係なく執拗に舐める動作や、突発的な掻き壊しが起こります。この心因性掻痒症は検査方法がなく診断ができないこと、治療経験がある獣医師もほとんどなく皮膚科セミナーなどで治療法が取り上げられることもないため、診療現場ではほぼ診断されていません。また心因性掻痒とアトピー性皮膚炎の症状が非常に似ているため、多くが「アトピー・アレルギー」と一括りにされて見過ごされているのが現状です。心因性というテーマがデリケートな意味合いを含んでいるのも影響が否めませんが、ここを追求せずしてブルドッグの痒み疾患を極めることはできません。当院ではアトピーと心因性を区別してアプローチすることで、従来の皮膚科とはまったく異なる高い診療レベルを提供できています。

『ブルドッグ犬種の特性への理解』

ブルドッグ犬種は遺伝的に特殊であり、他の犬種とは異なる特徴をいくつももっています。一般的には「皮膚が弱い」と一言で片付けられやすいですが、治療のためには何に対して弱いのか、なぜ弱いのかを細部まで分析することが重要と考えています。当院では気温・湿度・体重・皺・毛並み・毛色・性格など、一般的な「検査」では評価できない項目も分析し、個性・遺伝・環境要因に合わせた細やかな治療方針を組み立てています。

当院が得意とするブルドッグ犬種の皮膚病タイプ

湿疹・膿皮症タイプ

  • 湿疹・膿皮症タイプ1
  • 湿疹・膿皮症タイプ2

脂漏性皮膚炎

  • 脂漏性皮膚炎1
  • 脂漏性皮膚炎2

アトピー・免疫異常タイプ

  • アトピー・免疫異常タイプ1
  • アトピー・免疫異常タイプ2

心因性・舐め癖・掻き壊しタイプ

  • 心因性・舐め癖・掻き壊しタイプ1
  • 心因性・舐め癖・掻き壊しタイプ2

「ブルドッグ犬種を診る」ことへのこだわり

私が獣医師になった2002年の頃、ブルドッグ系はまだまだマイナー犬種であり、診察で診る機会も多くありませんでした。実際に当初の皮膚病の代表犬種といえば「柴犬・シーズー・コッカー・ウェスティ」でした。そこから10年かけて人気犬種となり、今では難治性皮膚病の代表犬種はフレンチブルドッグとなっています。この10年の変化は大きく、個人的にはブルドッグ系の体質評価に対して動物医療の質と獣医師の経験が十分に追いついていないことが難治性の原因になっていると分析しています。それは当院の高い治療成績を支える治療アプローチの多くは今の皮膚科の視点にないものばかりで、多くの改善症例を積み重ねて得た結論は、「教科書通りの治療では皮膚病は治らない」ということから思うことです。今では当院で最も多い診療件数がフレンチブルドッグであり、当院だから診断・アプローチできる治療内容は多くあります。今でも新しい発見、新しい課題を見つけているため完璧な治療ではありませんが、むしろ「医療は常に進化する」を信念に常に新しい医療を提供することを心がけています。「誰よりフレンチブルドッグを診ている」が私のこだわりです。

  • アトピー・免疫異常1
  • アトピー・免疫異常2
アトピー・免疫異常の特徴
  • 1~5歳までに発症
  • 季節性(春~秋)に悪化しやすい
  • 顔・耳・腕・四肢端・胸・内股に生じやすい
  • 赤み、腫れが強く、場合よにって血腫などが生じることもある
ブルドッグ種の治療実績をみる
―アトピー・免疫異常―
  • 膿皮症1
  • 膿皮症2
膿皮症の特徴
  • 円形脱毛、フケ、湿疹などさまざまなタイプがある
  • 頚部・脇・背中・胸・腹部・内股・大腿部など胴体部分に生じやすい
  • 再発を繰り返し、治りにくくなる
  • シャンプーは重要だが、治らない
ブルドッグ種の治療実績をみる
―膿皮症―
  • 脂漏症1
  • 脂漏症2
脂漏症の特徴
  • 顔・頚部・腕・四肢端・胸・内股などに生じる
  • ベタベタする、臭い、フケ、硬い皮脂などが付着する
  • アポキルによる改善が難しい
ブルドッグ種の治療実績をみる
―脂漏症―
  • 心因性掻痒症1
  • 心因性掻痒症2
心因性掻痒症の特徴
  • アポキルなどの痒み止めでの改善が悪い
  • 掻き壊し、舐め壊し、噛むなどの症状が強くでる
  • 顔・耳・腕・太もも・膝・四肢端・内股などに生じやすい
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―心因性掻痒症―

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